駄猫の時事放談

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トリクルダウン、その1 

自民党の麻生太郎幹事長が、景気対策の一環として、「株を買ったらその株の配当は300万円については無税にする」などと8月9日の講演で語ったが、同氏周辺によると「団塊の世代など個人投資家の株式市場への参入がより期待できる」として1人当たり300万円までの株式投資については、配当金を非課税にすることなどを具体策として検討しているんだそうだ。

麻生の発言をきっかけに、茂木敏充金融担当相以下、与党内は証券優遇税制の拡大に前向きな考え方を持っている者が増えているらしい。

まぁ、こういう話題に対して、賛否両論が出るわけだが。
俺が定期的に巡回している時事問題系のブログの中では、やっぱり、左側の思想(左翼、社会民主主義)の人に否定的な意見が多いかなって感じる。
「金持ち優遇しか考えていない」みたいな。

俺は思想は左寄りだけれど、証券優遇税制の拡大は賛成である。しかし、今日の本題は違うことなので、その理由を述べることは後日に譲る。

こういう税制改革が「金持ち優遇」っていう批判に対する反論の例を挙げるなら、資産家の糸山英太郎の主張が分かり易いだろうか。

麻生太郎幹事長が証券優遇税制の拡充として年300万円以下の株式配当を非課税とするべきと主張している。
もともと証券優遇税制に関しては、2010年12月末まで2年間の特例措置として、金額で上限を設けて優遇税率を維持し、株式と投資信託にかかる譲渡益は500万円まで、配当課税は100万円までそれぞれ優遇税率10%を適用するとしている。
金融一体課税については、譲渡損益と配当の損益通算を2009年1月から申告方式で開始し、2010年1月にも証券会社の特定口座を活用する方式を導入することになっている。
まーどれもこれも小出しで中途半端きわまりない。
その証拠に市場はこれらを全く評価していない、むしろ何も言わなかったほうが良かったのではないかと思えるぐらいだ。
この程度で投資家が「積極的に株式投資を行おう!」と挙って市場に戻ってくると本気で考えている政治家が存在することに失望する。

金持ち優遇批判を恐れて根拠の無い上限を設けることは策の本質を失ってしまう。キャピタルゲインの恩恵が一部金持ちに偏っているなど時代錯誤も甚だしい、今や広く国民の財産に影響するものであることを知らぬ者はいない。
また目先の瑣末な税収にこだわって軽減率をケチるなど愚の骨頂だ、個人的には自らリスクをとって得たリターンには課税の必要なしとさえ思っている。
訳知り顔の政治家はとにかく税制理論を持ち出したがるが、好調な経済あっての税制ということを分かっていない。

http://www.itoyama.org/contents/jp/days/2008/0820.html

これ以上、ビリオネアのイメージを悪くしてくれるなと言いたい。景気回復には力強く稼ぐ企業経営者がけん引役となるのだ。
経済成長を謳歌する国は国益を考えて、スーパーリッチ層の優遇を行なっているわけだが、ビリオネアに悪いイメージしかない日本人は金持ち優遇政策などケシカランと情緒的に反対してしまう。
私自身は愛国心から日本を離れる気は毛頭ないが、税制によってお金持ちが海外へ逃げてしまったら元も子もないと言いたいのだ。
大きいお金が動くから、小さいお金が動くことを知ってほしい。

http://www.itoyama.org/contents/jp/days/2007/0309.html

近年、景気が回復しても大企業だけが潤って、大多数の国民の生活は悪化の一途を辿っている社会現象について、「所詮、労働者の賃金を苛烈に抑制しただけの結果」と切って捨てる否定的な考え方もあるし、上の糸山氏の発言のように、大企業や資産家に対する優遇税制が、まだまだ中途半端だから駄目なのだという意見もある。

後者はダーウィンの進化論などの生物学・社会ダーウィニズム思想も根拠にあるんだろうけれど、トリクルダウン理論って呼ばれている発想だ。

トリクルダウン理論(trickle-down theory)とは、富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透(トリクルダウン)するという経済理論あるいは経済思想である。「金持ちを儲けさせれば貧乏人もおこぼれに与れる」ということから、「おこぼれ経済」とも通称される。

トリクルダウン(trickle down)とは徐々に流れ落ちるという意味で、政府のお金を公共事業や福祉などで国民(特に低所得層)に直接配分するのではなく、大企業や富裕層の経済活動を活性化させることによって、富が低所得層に向かって徐々に流れ落ち、国民全体の利益となることを示したものである。日本においても、所得税の最高税率を引き下げる時に、この考え方を根拠として用いている。

トリクルダウン理論の発想の原点は、マンデヴィル(Mandeville, B.)の主著『蜂の寓話:私悪すなわち公益』 (1714)に求めることができる。この本の副題「私悪は公益」(Private Vices, Publick Benefits)は、資本主義社会の本質を端的に示す言葉として有名である。私悪とは利己心のことである。利己心にもとづく各個人の行動が、結果的に(個人が意図したわけではないのに)全体の利益(公益)をもたらすという考え方である。この考え方は、レッセフェール(自由放任主義)につながるものであり、アダム・スミスなど古典派経済学の経済学者に大きな影響を与えた。

トリクルダウン理論は、サプライサイド経済学の代表的な主張の一つであり、この学説を忠実に実行したレーガン大統領の経済政策、いわゆるレーガノミクス(Reaganomics)について、その批判者と支持者がともに用いた言葉でもある。サプライサイド経済学は実行に移され、実際に景気や失業率は改善したが、財政赤字は爆発的に膨張しクリントン政権まで解消されなかった。また、何が景気回復の原因となったについては議論が続いている。
多くの専門家の意見として、連邦準備理事会議長(アメリカの中央銀行総裁)であったヴォルカー(Volcker, P.)はスタグフレーションを解決するために既に正当な政策を始めており、回復要因はこの金融政策にあったと見ている。また、レーガンの経済顧問を務めたストックマン(Stockman, D.)は後に、サプライサイド経済学やトリクルダウン理論はレトリックだったと述べている。

この考え方によれば、投資の活性化により、経済全体のパイが拡大すれば、低所得層に対する配分も改善するというものであったが、現実にはパイの拡大が見られても、それが配分の改善を伴わず、国民全体の利益としては実現されていない、との批判がしばしばなされている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3

本題に入る前に、ひとつ興味を引かれる話を書くが、この法則は株式市場で確かに存在している。
何かっていえば、例えば、下記の本に書いてある「2番手企業の株」がそうだ。

あえて、その株を買う理由―10年使える銘柄選び
あえて、その株を買う理由―10年使える銘柄選び

2番手企業っていうのは、何かというと、各業界の準大手クラスの会社のことだろう。
書かれているを平たく言うと、例えば、鉄鋼だったら最大手の新日本製鐵や大手の一角の住友金属や神戸製鋼所などが値上がると、それに若干遅れて、準大手クラスの日新製鋼所や中山製鋼所に投資資金が流れていくのだ。
自動車だったら、最大手の豊田自動車や本田技研から始まって、それよりも下位のメーカーや部品サプライヤーの株が上がるという流れになるだろうか。
つまり、毎日どこのセクターの大手企業が値上がっているのかを察知して、2番手企業の銘柄を買う投資法を模索することを推奨している趣旨のなのだ。

残念ながら、俺はその法則を実践で利用して、確実に利益を実現する方法を身に着けていないんだけれど、株に限らず、投資で有利になる優位性として、無視できない理屈ではあると思う。

投資が上から下に向かって徐々に流れ落ちるという意味では、これも間違いなくトリクルダウン理論と呼べるだろう。

長文なので、今日はここまで。
2008/08/24 10:55|経済CM:0
 

今後、生き残れる不動産会社 

東証一部に株式を上場している不動産会社のアーバンコーポレーションが東京地裁に民事再生手続きの開始を申し立て、一ヵ月後に上場廃止が決まりました。
負債総額は2558億円で、上場企業の経営破綻としては今年最大の規模になるそうです。

このところ、不動産業の経営破綻が相次いでいる。
大抵は不動産バブルの崩壊、地価の下落を受けて、借金で仕入れた在庫も相場の値下りで売るに売れなくなって不良化して、資金繰りが行き詰るオチなんだろう。

でも、こんなことになるのは、とっくの昔に察しがついていただろう。
この前の『日本の大好況の芽を育てず、踏み潰した人々』という記事でも書いたが、本来だったら、これから結婚して新しく家庭を築いて、マンションを買うような世代は、貧困化が進んで、銀行でローンを組んでもらえる人の数が多くはないし、非婚化も進んでいる。
需要が限られているんだから、いつまでも高騰するわけがないのである。

ここまで雇用を破壊しながら、ちょっと前の米帝みたいな大好況を作るには、日本でもサブプライムローンの拡充を国策として、もっと強く推進しておくべきだったのだ。

しかし、今の政府の国策はそれとは逆なのだろう。
例えば、下記の本には、新自由主義経済思想が根拠になっている旧住宅金融公庫の廃止・民営化の経緯とか、雇用の流動化で銀行の与信審査に合格できない非正規雇用層の増大について述べているが、要は国は低所得者層の住宅取得に否定的になっている。

住宅喪失
住宅喪失

だから、分譲マンションなんて、馬鹿みたいにドンドン建てられているが、買い手なんかいないのである。

ここから、今日のお題の「生き残れる不動産会社」に話を移そう。

多くの国民の生活を脅かしている新自由主義経済思想の推進者が主に主張していることのひとつに、「移民の受け入れ」があるよな。特に経団連がそうだな。

ちょっと前までの米帝の不動産バブルは、移民によって支えられてきた面が大きい。
そういう現象の一面を見て、日本も移民を受け入れた方が景気が良くなるんだと主張している識者もいるわけだ。

しかし、国や経団連が欲しいのは、低賃金で使える労働力なんだろう。
例えば、経団連は明らかにそうだけれど、恐らく、今の国は高齢者の介護福祉の現場で働いている労働者の待遇を改善する気なんか更々無い。多分、日本人に成り手が少なければ、外国人を受け入れれば良いんだっていう方向で考えているんじゃないのか。

ということは、銀行で住宅ローンが組めないような層ばかりの人口が増えるってことになるんだろうか。

もう、察しの良い人は何を言おうとしているのかが分かると思うけれど、分譲の需要は大して増えない一方で、賃貸の需要の方が拡大するってことになる。

自社ではあまり物件を抱えず、他人が持っている土地に、その他人の金でアパートやマンションを建てさせて、上手いことキャッシュを抜かせてもらうビジネスをやっているような会社が生き残る、っていうか、不動産業の中では、最も成長の可能性が高いんじゃないのか。
2008/08/14 09:31|経済CM:0
 

何をやってもやらなくても、詐欺師に資産を奪われる危機に我々は常に晒されているのだ 

破たん「FX投資」社長 客の金で豪遊の大罪

主婦や学生にまで広がった、新たな投資「外国為替証拠金取引(FX)」。打ち出の小槌(こづち)のように喧伝(けんでん)されたこともあったが、世の中そう甘くはない。取引業者が破たんし、客の証拠金が戻ってこない事例も相次いでいる。その一つで、約20億円の負債を抱えて破産手続き中の「アルファエフエックス」(東京)の経営実態は、あまりにひどい。

本誌 山本 航/撮影 中山博敬

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/yw/yw08081701.htm?from=os2

近年、外国為替証拠金取引(FX)を始める個人が増えているが、上記の記事に書かれている通り、取引業者が客の金を使い込んだりする不正・トラブルがあったり、お定まりのことだが、個人投資家がハイレバレッジ取引で破綻することも後を絶たないだろう。

投資家の預かり資産を保護するため、取引業者には証拠金と業者自身の資金を区別して管理することが金融商品取引法で定められている。
ところが、JNSのように、それを遵守していることを標榜しておきながら、実際には保全先の信託銀行に移管せずに、自社でドンブリ勘定やっていた会社も出てくる始末だ。

今の日本は銀行預金の利子が低いから、こういう金融商品に興味を持つ人は後を立たないが、業者の選択は表裏問わずに集めて、個人個人、慎重に判断するしかないってことだ。

銀行預金の利子が低いから……
そう。そういう不満や不安から、こういう金融商品への投資に入ってくる個人は多い。
でも、FXに限らず、株でも先物でも、相場は得てして、そんな安易な動機で取り組むと、地獄への一里塚になってしまうような気がする。
俺もそうだったから……。初めて株に手を出した頃、ホントにそういう気持ちだったからな。

銀行預金の利子よりも儲かれば……
そんなふうに考えていた時期が僕にもありました。

でも、だったら、何もやらない方がいいんだろうか?

最近の年金の記録問題もそうだが、だって、日本っていう国それ自体が詐欺で成り立っているような代物じゃないか。

我々は生まれながら、何をやってもやらなくても、詐欺師に資産を奪われる危険に常に晒されているわけだ。
2008/08/06 05:11|経済CM:0
 

日本の大好況の芽を育てず、踏み潰した人々 

ここ1年ぐらいか、新聞の経済欄に『サブプライム・ローン』という言葉が載らない日は無い。
これから相当、尾を引きそうな気配も漂っていて、日本国内も景気後退懸念が濃くなっているわけだ。
当然、それを覚って、株式市場は軟調な推移が続いているわけで。

私は10年以上も前に株式から投資の世界に入門した。
しかし、現物株投資は1年前――チャイナショックの大暴落があった直後、全て処分してしまい、それ以来はきっぱり辞めてしまっている。

米帝のサブプライム問題についての認識は甘かったけれど、それを抜きにしても、日本株が上がるとは想像し難いものがあった。

今まで、同じことを何度か書いてきたけれど、日本の近い将来の株高を自信満々に予想すていた(今でも予想は継続中?)専門家の先生方の主張には共通する話があるよな。

「人間が最も消費活動が活発になるのは、子育ての最中で、家も建てる40歳代ぐらいだ。だから、人口の多い団塊ジュニア世代が40歳代になる時期、その世代の消費で国の景気は凄く拡大する。それを見越して株価も上がる」

大雑把にまとめると、以上の内容だ。

私もこの世代に近いのだけれど、これより下の世代って、2人か3人に1人しかが正規雇用に就くことができていないんだろ。それで、親の経済力に頼れなければ、中流の生活を維持することができない。

だから、そんなバブル、来るわけないぞ。……って何度も言ってきただろ。

もう、その兆候は誰の目にもハッキリ映っている。国内のどこの自動車メーカーも国内市場での販売不振に頭を悩ましているし、マンションが売れなくて、資金繰りが悪化した不動産会社の倒産が相次ぐようになったこととか。

前々から、そんな事態を憂慮していたのか、政府は「親元で暮らしている若者」を批判する本を書いたトンチンカンな学者を起用して、「若者の自立支援」の対策を考えたり、用途が子供の住宅購入ならば、生前に相続を認める税法を施行したりしているのだが、あまり効果は上がっていないようである。

みずほグループは、米国のサブプライム・ローンに手を出して、千億単位の大損を出したんだってな。他にも莫大な損失を計上している金融機関が少なからずあるだろう。

まったく、つい数年前、公的資金で不良債権の尻拭いをやってもらったばかりなのに、日本のバブル崩壊と同じような末路が容易に察しがつくことに大金を投じて、穴を開けてしまった奴らの責任を強く問う声があまり聞こえてこないのは何故なんだろう?

それだけ、溝に捨てられる銭があるなら、何で、日本の若者に投資しないの?

今の日本の若い世代が厳しい雇用環境を強いられているのは、そんな銀行の不始末に端を発する長引いた不況も大きな要因だろう。

来る筈の好況が来ないのは、継続して拡大していく筈の景気が萎んでしまっているのは、若い世代に金を回さず、その将来を潰すようなことをやっている上の世代とか、富裕層側の落ち度だろう。

若者の「意識」「自立精神」を鍛えるようなことばかり言って、親元を追い出すことを推奨して、景気拡大を図って社会全体の世帯数を増やそうとしたところで、○マイルサービスとか、○オパレスなどといった、経済的弱者、貧しい若者を食い物にしているような悪徳不動産会社を一時的に肥えさせるだけである。

「一時的に肥えさせる」と書いたのは、そんな会社は人材派遣のグッドウィルや英会話教室のNOVAみたいな末路を辿っていくのは目に見えているような気がするからさ。
2008/07/22 20:00|経済CM:0
 

人は皆、デリバティブのトレーダーなのだ(未来の日本が世界に冠たる金融大国に成長する可能性) 

株価や世界の基軸通貨が暴落しているが、ここ最近、世界中の投資資金はオイルや貴金属などの商品に逃避しているんだそうだ。

それにしても、米帝のサブプライム問題は皮肉なものだと思う。

俺は以前、そんなに事態を重くは見ていないようなことを書いたけれど、認識を誤っていることを認めざるを得ないかも知れない。
彼の国はこれから、日本のバブル崩壊後のような長い低迷に入るのではないかという憶測を述べる奴がちらほらと増えてきた。

日本のそれの後遺症が深刻になったのは、当時の米帝政府に内需の拡大を迫られて、地価が異様に暴騰するような政策をやった、それに歯止めを掛けられなかったからだろうが、要するに、米帝は日本が繁栄を長く謳歌することを許さないから、当時の政府にそういう圧力を掛けていたのだと思う。

自分たちが支配・敵視する国家の経済を混乱させるためにやったことが、今度は自国で発生しているんだぜ?

さて、今日のお題のデリバティブだが、現在の日本で最も活発に取引されているのは、大阪証券取引所の日経225平均先物(オプション)だろうか。

バブル景気の時代に上場されたが、暴騰の時期でも暴落の時期でも、外資のソロモン兄弟社など、国策を熟知していた機関は相当に荒稼ぎしたそうだ。

一般に先物・オプションは現物株と違って、強制的に決済される期日が定められているから、厳しい世界だと言われている。
現物株なら、保有株が値下がっても、倒産しない限り、いつまでも株主の権利を有しながら、塩漬けで頑張ることはできるが、先物・オプションはその期日が来たら、(ロールオーバーもあるが)否応無しに清算される。勝負がつくのが早いのだ。

今日のお題の「人は皆、デリバティブのトレーダーなのだ」というフレーズは、米国の高名な先物相場師のラリー・ウィリアムズの「人は皆、商品トレーダーなのだ」という言葉を一部分、言い換えたものなんだがね。

お気づきかどうか分からないが、人は生まれながらの商品トレーダーなのである。
もちろん、全ての人がポークベリーの先物をトレードするわけではない。しかし、クルマや持ち家を売ったり/買ったり、骨董品を取引したりする人もいる。そうでないとしても、教師、弁護士、パイプ職人など、時間と賃金をトレードしている人も多い。時間給で働くのも同じことである。人は皆、殆ど商品トレーダーなのであり、ただその事実に気付いていないだけなのである。

ラリー・ウィリアムズの短期売買法―投資で生き残るための普遍の真理
ラリー・ウィリアムズの短期売買法―投資で生き残るための普遍の真理

私はこの本のこの件を初めて読んだ時、「金融大国アメリカの人間は、そういう発想を持つんだろうな」ぐらいにしか思わなかった。

しかし、ここからが本題だが、実は日本人の方がそういう適性が優れているのではないかという憶測が浮かび上がったのだ。
そのきっかけは、下記の本なんだが、ホントに世界一やさしい内容で書かれていると思う。
エクセルでブラックショールズの式を使って、オプションの価格を出す方法が平易に書かれているところだけでも、読む価値があるだろう。

世界一やさしい金融工学の本です
世界一やさしい金融工学の本です

これを読んで、俺が何を感じたのか、順を追って書こう。

漫画はお世辞にも上手いとは言えないのだが、ストーリーも捻りが無い。
憧れの先輩(男)が勤めている銀行に就職が決まった女子大生が、隣家の秀才の小学生(6年)の少年から(ネットのバーチャルの株式投資で、トップクラスの運用成績を叩き出している)、金融工学のイロハを教わるという展開なのだ。
二人の登場人物の会話は初心者向けのやさしい解説の羅列ばかりで、いかにも起伏が無いストーリーなのだ。
それで、漫画の話の最後は小学生の少年の方は、私立に進学する選択もあったのだが、好きな女の子が公立中学校に行くからといって、自分もその選択をする。
女子大生が、「二人とも、好きな人に合わせて進路を選択するんだから、一途なんだよね」などと笑って終わり。

ホントに何の捻りも無いストーリーだなという読後感だが、俺の頭の中で、あることが引っ掛かっている。

それが今日のお題の「人は皆、デリバティブのトレーダーなのだ」だ。

我々は生まれながらにして、デリバティブのトレーダーなのではないかと思うようになったことだ。

あらゆる人生の節目――進学とか、就職とか、結婚とか、女だったら出産もそうだろう、退職とか――に向かって、その時点での自己の権利行使価格を有利にするために生きているようなものだ。

それも、オプションを売買しているようなものなのだ。
基礎から説明することは省くが、オプションという金融商品は満期日が近付くにつれ、時間的価値の減少幅が拡大していく。

我々、人間の存在そのものが、時が過ぎれば、時間的価値を喪失していく金融派生商品のようなものだとは、思えないか?

ましてや、日本の国・社会って、就職は新卒と既卒で機会の格差が大きいし、結婚も年齢を重ねると、条件がドンドン不利になっていくだろう。
この前、「女は35を過ぎると、羊水が腐る」などという芸能人の失言が顰蹙を買いまくっていただろ。
口に出さないだけで、そんなことを思っている大人は多いような気がするぜ。

日本人はそれだけ、時間的価値の喪失のリスクが高い社会を生きることを強いられているってことだ。

そこから、俺が考えを飛躍させたことだが、そういう社会環境で揉まれてきた日本人の方が、実は西洋人よりもデリバティブ取引のセンスが優れている人材を輩出する可能性が高いのではないかということだ。
単に過去、米帝のシカゴよりも先に、先物取引が始まった歴史的事実があるということ以外に、だ。

どうでもいいことだが、狩猟民族(ゲルマンとか)の出自が多い西洋人は、デリバティブの短期売買が得意で、逆に農耕民族の日本人は株の長期投資の方が適しているだなんて言っている専門家もいるらしいが、実は今後は逆になっていくんじゃないかって気もする。

米帝は昨今の農産物の高騰を見越して、これから農業の振興をやっていきそうな気がするし、今の日本は食料自給率を上げる政策なんて、現実的では無いような気がするからだ。

でも、俺の個人的な感情を述べさせてもらうと、人生なんて、ロールオーバーしまくりでOKだぜ。
そんな型に嵌った人間ばかり求められる社会なんて、ぶっ壊さなければならないと思っている。
2008/03/09 23:58|経済CM:2
 
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