駄猫の時事放談

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抜け出すのは難しい派遣労働 

(8月17日、加筆修正)

無職や非正規雇用の若年男性による無差別殺人事件が相次いでいますが、その一因として、不安定な雇用のせいで、若者が貧困化している問題を指摘している識者もいます。

一度、フリーター(非正規雇用)になると、そこから抜け出すのは難しいって言われている。

まず、分かり易い話から書くが、今の日本の多くの企業は非正社員の経験を職歴として認めないから、正社員の求人に応募しても書類審査・面接でマイナス評価され、採用されることが難しいという事情がある。

もうひとつは、金銭的なことで、そういう生活を抜けられなくなる構造がある。

派遣会社は売上の向上のため、少しでも多くの人手を必要とするから、遠方の地方でも募集を掛ける。当然、採用したスタッフの住まいを確保しなければならない。
大抵の派遣の求人情報の待遇の項目には寮完備という言葉が載っているが、寮とは言っても、多分、殆どの場合、派遣会社が自社で社宅を保有しているわけではない。勤務地の近所で民間の賃貸住宅を借り上げているのだ。
それで、家賃の負担は会社の補助が無い所の方が多い。それどころか、大家や不動産屋が提示した値よりも高い寮費をスタッフから取って、上乗せ分をはねているような悪質な派遣会社もあるらしい。

そういう立場だから、仕事を辞めるということは、同時に部屋を追い出されることも意味する。
派遣を辞めたくなって、定職を探す気になったら、職安とかに行く前に次の部屋を探さなきゃならないわけだが、それに必要な費用も含めて、次の仕事が決まって、その最初の賃金がもらえるまでの期間の生活費も貯めなければならない。安い賃金から借り上げアパートの家賃を引かれながら。

そういう毎月必ず引かれる費用や生活費に対して、支給される給料が安過ぎる。
求人情報の広告などには、「月収二十数万以上可」とか、そんなことが書かれているが、月給制じゃなくて時間給で計算される月収で、広告にそういうふうに書かれているだけの総支給を得るには、相当の時間の残業・休日出勤をしなければ届かない。
そのことに批判やイチャモンが多く集まったんだろう。最近では広告を出す時、小さい文字で時間給を記載されるようになった。

一度、こういうところに入ると抜けるのは難しいという話のもうひとつの意味は、こういうことだ。
親元で暮らしている人とか、戻れる実家とかがある人なら兎も角。

更に罠があるんだけれど、それは多くの派遣会社で行われている「先払い」などと呼ばれている制度の罠である。

会社によって差があるんだろうけれど、簡単に言うと、一定の範囲内で給料の一部を規定の給料日よりも先に支給してもらうシステムなのだ(無料の求人誌にもよく出ているが、「日払い」「週払い」と呼んでいる派遣会社もある)。

派遣は当然、自分が辞める気無くても、会社の生産・業務の繁閑の都合で契約を打ち切られる。
それまでに、次の仕事が決まるまでの生活費を十分に蓄えられない者も多い。要するに、「先払い」って、そういう人間のためにある制度なんだろう。そういうところしか、頼れる所が無くなる。

多分、仕事のストレスでそうなり易いんだと思うが、こういう労働の現場には、パチンコみたいなギャンブルが好きなだけなら兎も角、生活に支障を来すほど、突っ込んでしまう者が少なくない。
それで、会社の先払い制度に頼らなければ、生活できなくなってしまうわけだ。
毎月毎月、先払い制度で先に細かく給料をもらい、規定の給料日に支給される額は大きく目減りして、所属している派遣会社での仕事が辞められなくなる。
「今日から永久に先払い!」だなんて、笑えないコピーが書かれている求人も見たことがある。

『賭博破戒録カイジ』の地下強制労働施設の【四五組】の生活そのものなのだ。

この漫画のその話は、今の社会の縮図そのものじゃないかという印象だ。
安い賃金から更に金を抜く誘惑・罠が社会のあちこちに張り巡らされて、理不尽な労働を強いれるようにできているのだ。

では、そういう生活(派遣スパイラル)を脱して、もっと安定した職を得るには、どうすればいいのか?

インターネットには、これと同じか、これに近い境遇の男性が書いているブログ・WEB日記が少なからずあって、そういう生活から抜け出す努力をしている人もいるけれど、大変な道のりだと感じる。

社会保険に入っているなら、1年ぐらい我慢して働いてから辞めて(できれば、会社都合で)、失業給付をもらいながら職業訓練校に行くという手がある。

あとは親の経済力に頼れなければ、消費者金融で当座の生活費を借りて、就職活動をしている人もいる。

また、派遣先に直接雇ってもらうことを交渉する手もあるだろうか。
これは企業によって、方針に差があるんだけれど、若い社員は殆ど派遣や期間工から引き抜かれた人ばかりの現場もあれば、そういうケースは無いという会社もある。
派遣はすぐ辞めても後腐れが無いから、そういう利点を使って、そんな所は少ないかもしれないが、全く無いわけでもないので、そういう引き抜きがある会社で、自分に合う職場を探すのも手なのかも知れない。

もうひとつあるんだけれど、派遣会社の正社員に登用してもらうことだ。
でも、これはあまり、お勧めできない。
会社によっては、現場で現業員のまま、月給制で賞与も少しは支給される身分になるケースもあるかも知れないが、派遣会社の正社員になるというのは、大抵は営業や労務管理といった職種にキャリアアップする進路である。

俺はやったことが無いんだけれど、恐らく、工場の現場作業で働くよりも遥かにストレスが重い仕事内容だと思う。
自分が所属する会社の上司や経営者や客である派遣先企業の管理者から理不尽が要求が多いだろうし、スタッフの管理も並大抵のことではない。
何十人、何百人とかき集めたスタッフは常識人ばかりとは限らない。
住んでいる地域に正社員の求人が無いとか、不況の時代に学校を出たからとか、そういうことじゃなくて、明らかに本人の資質・素行に問題があって、他に雇ってもらえる場所が無いような状況のどうしようもない人間も少なからずいる。『カインの末裔』の広岡仁右衛門みたいな横紙破りもいるだろう。
そういうのを管理していくんだから、何かトラブルが付いてきても不思議じゃない。少なくとも、突発で欠勤されることなど日常茶飯事。
スタッフが突発で休んで、現場に人数が足りなくなれば、派遣先の管理者からは怒られる。時には自分がライン作業に入らなければならないこともあるかも知れない。

当然、ストレスで心を壊して、離職に至るか、時給制の一兵卒に戻ってしまう人も少なくないらしい。

恐らく、静岡県の関東自動車工場の現場を担当していた日研総業の労務管理者は、例の秋葉原の事件の後、酷い目にあっていることだろう。
山一證券の廃業した時の社長みたいに、首を吊りたい気分で日々を送っているんじゃないかな?
或いは、今頃は病院に入っているか、家に引き篭もっているかもね。

関東自動車も日研総業も事件の直後、「従業員の管理をしっかりします」ってコメントを発表しただろ。それはそういう意味だ。

「スタッフにちょっとでも変わった様子があったら、声を掛けなきゃいけない」とか、そういうお達しが出ているんだと思うが、大体、そんな激務に追われてながら、一人で数箇所の現場を抱えていて、何十人もスタッフの管理を背負わされると、目が届かなくて道理だろう。
「そんな事件を起こす奴がいても、そんなこと知ったことか!?」って怒鳴り返したくなるのが本音なんじゃないのか。
2008/08/16 12:00|雇用、労働CM:2
 

「外こもり」について、もう一言 

【NHKプロフェッショナル様】「ニートは社会のせい」に太田「甘ったれだ!」(爆笑問題のニッポンの教養)

今回は「プロフェッショナル 仕事の流儀」が再放送だったため、火曜23時から放送されている「爆笑問題のニッポンの教養」を紹介する。爆笑問題の2人が様々な大学に赴き、教授や准教授と談義を繰り広げる番組だ。

今回の放送は東京大学で教育社会学を研究している本田由紀 准教授のもとを訪問。議論のテーマは「我働くゆえに幸あり?」。ニートが社会問題になって久しいが、働かない人間が悪いのか、それともそういう人間を作ってしまった社会が悪なのか、爆笑問題の太田と本田准教授が熱い議論を繰り広げた。

ニートが量産された背景には、就職氷河期がある。就職したくても出来ない、定職に就くことが出来ない者がフリーターになり、世の中に嫌気がさしてニートになる。テレビの特集などでよく目にする図式だ。本田准教授はニート問題に対して、ニートを生む要因となった社会のシステムが悪いと指摘。それに太田が「人のせいするな」と真っ向から反論する。

本田「何百社も面接を受け、落ち続けた人が大勢いた時代がある。それでもその人の努力不足だということができるか」

太田「人のせいではないよ」

本田「そういうことを言う人が本当に多い」

"若者がしっかりしていないから"と言って若者側に責任を帰属させてバッシングする人が多いことに本田准教授は腹を立てる。だが太田は、それを言いわけにする若者は"甘ったれだ"と反撃。

太田「世の中は理不尽なことだらけ。そいつらだけじゃない」

僕は太田の言い分に同感だ。自身の就業の問題を社会のせいにするのはずるい気がする。だが、社会的に地位のある人が揃ってニートバッシングをするのも同じくずるい。本田准教授の言うとおり、過去の社会にも責任があるのだろうから。

結局その後のトークでは日本の教育システムに話が向かう。日本人は、社会では何の役にも立たない、受験のための勉強を高校までに強いられてきた。そうした過程を経て頭の堅い人間が量産され、就職氷河期の時代に応用が利かなくなったのだという。教育のせいなのでは?と視聴者に思わせる流れで番組は終わった。

http://news.livedoor.com/article/detail/3565252/

若い世代の無業や非正規雇用の問題の議論が百出するようになって久しい。

上の記事は何を示唆しているのか?

この問題に限らず、社会情勢の変化のせいで、人生設計が駄目になる被害を被った当事者世代は、本当に政治や社会、企業に非があるんだとしても、それを口に出さないことが、賢明な処世術だってことだ。

同じような意見の主張でも、本田由紀が言っているのと違って、雨宮処凛とか、「希望は戦争」の赤木智弘など、その世代の範疇の歳の奴は痛く見られてしまいがちってことだ。

結局、自分で何とかするしかない。
上の記事に登場する本田とか、森永卓郎などのように、そういう世代の不遇に理解を示して、それを訴えているような識者がいくらいたって、不遇をかこっている世代が救済されるわけではないし。

自分で何とか出来なくて、親の経済力にも頼れない状況の奴は、気力が尽きたら、もう、自殺するしかない。

中国を筆頭として、アジア諸国には人件費が安い労働力が豊かである。それも特定の世代に限らず、日本の雇用情勢が厳しくなる大きな要因になっているだろう。

俺は今日の記事で、何を書きたいかというと、この前、取り上げた「外こもり」について、もう一言、付け加えておきたい話を思い出したんだよ。

安い人件費を求めて、海外の労働力(工場の移転もそうだし、研修生など、安い労働力の受け入れもそうだ)を活用するのが合理的な経営のセオリーってことが、もう、社会全体に定着しているだろう。

じゃあ、企業のそういう方針が認められるなら、個人がそれと同じことをやっても非難される謂れは無いわけだ。

半年、日本でアルバイトして、残りの半年はタイなど、物価の安い国でブラブラ暮らすライフスタイルは、合理的な生活のセオリーなのだ。

少なくとも、企業の合理的な経営のセオリーで、若者の労働問題が生じていることについて容認的な態度の者が、生まれ育った国で就労せず、物価の安い国に引き篭もる「外こもり」のことを批判的な目で見るのは、矛盾も甚だしいことだと思う。
2008/03/23 23:00|雇用、労働CM:0
 

家族団らん=残業代カット 

数日前のニュースだが、厚生労働大臣に就任した枡添要一がこんなことを言ったそうだ。
以前、安倍晋三も、この枡添と同じようなことを言って、呆れられていたな。
残業代をカットすれば、家族で過ごす時間が増えるから、出生数が上がるなどという発想だ。

舛添厚労相、残業代ゼロ目指す法案を「家庭だんらん法」の呼称に

舛添要一厚生労働相は、2007年9月11日の閣議後の記者会見で、一部事務職の残業を割増賃金の支払い対象にしない「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」制度導入を目指して政府内で検討されている法案について、名前を「家庭だんらん法」にするよう省内に指示したことを明らかにした。舛添厚労相は、その理由を「残業代が出なければ、早く帰る動機付けになる」としており、労働環境改革の一環として取り組む考えを示した。この制度は、厚労省が先の通常国会で法制化を目指していたが、「残業代ゼロ制度」と批判を浴び法案提出を見送っていた。

http://www.j-cast.com/2007/09/12011210.html

以前、俺は「裁量労働制」と「ホワイトカラー・イグゼプション」(以下、WCE)のふたつの用語を混同して書いていたかも知れないが、両者は非なるものだ。
でも、大雑把に言ってしまえば、WECは現行の裁量労働制で規定されている適用の範囲(労働時間と業績が比例しないと思われる分野・立場に限って、一定水準を超える残業代をカットする)を緩くして、もっと多くの労働者に適用できるようにしようってことだと思う。

大した仕事も残っていないのに、残業代を稼ぐために、ダラダラと職場に居残りしているような奴を何とかしたいっていう建前を推進派は持ち出している。
しかし、職場でそれ相応の権限も持たされていないのに、名目だけの職位を与えられて、残業代カットで酷使されている労働者が多い社会の現状を見ると、一概に言えないような気がする。

それに今の日本の企業社会の慣習を考えると、仕事のできる人間は自分の仕事だけをさっさと終わらせて、「家族」のために皆より先に帰ろうなんて、やりづらいような気がする。

奥谷禮子っていう派遣会社の経営者は、「これからの時代は、多様な働き方をドンドン拡げていくべきだから、労働時間の法的な縛りを無くすべきだ。祝日も廃止するべきだ」などと主張している。

でも、他で多くの人が指摘していることだから、このブログで今更、書いてもつまらないのだが、「人材派遣」のシステムと同じ構造変化を辿るような気がする。
「人材派遣」っていう制度だが、導入された当初は適用できる分野は限られていたし、元々は最初にその導入を主張した奴だって、過去の労働搾取の再現・貧困の生産装置になってしまうようなことは全く想定していなかったらしい。

今の現状は、「多様な働き方が増える」=「非正規雇用を強いられて、賃金や待遇が低下する人の増大」だ。結局、大半の人は「多様な働き方」に陥らないための努力を止められないんだろ?
だから、高校生や大学生に対して、ニートやフリーターになる確率が低いルートとして、既存の働き方に就くような教育に力を入れられるわけだ。

大企業正社員と非正規雇用は言うに及ばず、正社員でも中小企業とは格差が多い。
単純に賃金の差も指摘できるが、福利厚生の違いがもっと大きい。

最近はこのことを何度か書いているが、日本の国の社会の所得の再配分機能って、政府が果たす役割は米帝と比較してすら低くて、企業の福利厚生を通じて果たす役割の大きさは変わっていないから、それも「多様な働き方」を拡げることを阻害しているような気がするのだ。
恐らく、今の日本の「格差」という時事用語の核心は、こういうことだと認識している。六本木ヒルズの長者とそれ以外の資産・収入の比較ではないだろう。

小泉内閣で金融担当相だった竹中は、「若い人には、大企業に正社員で就職する以外の働き方を考えて欲しい」みたいなことを言って、政府として「多様な働き方」を推奨していた節もあるから、派遣法の緩和も通されたんだと思う。
が、そういう「格差」の解消をやらない限り、搾取の仕組みを増やしただけの結果に陥るのだ。

アールの奥谷とか、パソナの南部など人買い・人売り業を営んでいる奴らは、今の社会保険制度の解体を訴えるようなことを言っている。悪法でも法は法だから、仕方なく短期雇用の派遣社員にも適用させているんだっていうスタンスだ。

俺個人の考えを述べると、そういう言い分は一部認めている。確かに悪法だ。
今の日本の社会保障の制度って、安定企業で正規雇用の身分を謳歌している人間のためだけに存在しているようなもので、そういう中間集団に所属している人間にとっては、日本は未だに社会主義だろう。
しかし、そういう中間集団に入っていない社会的に排除されている層にとっては、アメリカ以上の「小さい政府」の社会だろう。

時々、少子高齢化問題の関係のニュースで、大手企業の取り組みが肯定的に取り上げられる記事を見かけるが、あれはどうかと思う。
ハッキリ言って、あんなのは「ウチはこういう福利厚生をやる余裕がある優良企業だぜ」っていう宣伝に利用されているだけだ。

だから、貧困の問題にしろ、労働時間の問題にしろ、年金の問題にしろ、子育て環境の問題にしろ、根本的な対策を大きくふたつあげると、
ひとつは、転職や退職の際にいちいち、手続きしなければならない社会保険のシステムを解体して、根本から作り直すことだ。
もうひとつは、国中の企業に対して、今の松井証券のようなやり方(退職金とか、余計な福利厚生をやめる)を手本にすることを推奨することだな。

この前の記事で、内橋克人っていうジャーナリストの著書を取り上げたが、あれに書いてあることと概ね同じなのだ。
つまり、家族手当だとか、住宅補助とか、退職金とか、企業にそんな余裕があるなら、所得を社会全体で集積して、「払った人が払った分だけ受給できる」制度じゃない社会保障を作り直した方が良いと思うんですよ。
そんなものがあるから、終身雇用・年功序列を満喫した世代だって、つまりは生活・家族を人質に取られて、朝から夜遅くまで扱き使われてきたようなものなんだろ。
それで、配偶者と会話する時間なんかが犠牲になったから、年金を受給する目前になって、離婚というケースが多いではないか。

それで会社を解雇された時のリスク、そもそも、安定企業に正規雇用で就職できなかった者のリスクを解消するという目的もあるし、家庭をおろそかにしてまで、会社に過剰な忠誠心を持つ義務から労働者を解放する目的もあるだろう。

国の政策として、そういうことを進めた先に、残業代カットも正の効果が出てきて、真に幸福な意味での「多様な働き方」も「家族団らん」も実現する可能性が最も高いような気がする。

つまり、先に改革しなければいけないことは、「残業代カット」よりも、上に書いたことなのだが、その順番を逆にするから搾取の装置でしかないのだ。
まぁ、派遣会社の経営者の頭の中は、搾取することしか考えていないような気もするけれどな。
だから、今の世の中の現状は、「規制緩和」とか、「改革」の掛け声は大きいけれど、旧来の悪いところで、社会を牛耳っている層に都合の良い部分だけは温存されているように見える。
結局、裁量労働制を導入していたって、フレックス勤務を認めていない会社も多いみたいだしな。


ただ、俺個人の考えを述べると、グローバリズムを批判している論者の中でも、過去の慣習の復古・維持を主張しているような者とか、「就職しない若者」に対するステレオタイプな批判をしているような人間こそ、国民を疲弊させるだけの改革を後押してしまっている面もあるような印象を持っている。
2007/09/17 11:08|雇用、労働CM:0
 

真面目に取り組まないなら、今度の選挙はナチズム勢力が躍進するぞ 

格差解消、正社員よりパート支援優先 連合が方針転換

日本最大の労組中央組織、日本労働組合総連合会(連合)は1日、運動の中心に据えていた大企業、公務員の組合員の労働条件向上よりも、パートなど非正規労働者や零細企業労働者への支援を優先する方針を固めた。低賃金で働く非正規労働者らとの格差解消が狙い。秋の定期大会で新しい運動方針として提案し、了承される見通しだ。連合の運動方針は正社員労組中心の利益団体から、あらゆる形態の労働者と連帯する福祉型労働運動へ大転換することになる。

 連合幹部らが作成した運動方針の素案によると、これまでの非正規労働者や中小企業労働者への対応について「取り組みが労組全体のものとはなっていない。(労組の)組織化も一部にとどまり、中央組織としての存在意義が低下している」と総括。今後の運動方針の力点として初めて「非正規労働者や零細企業で働く労働者への支援・連携の強化、組織化に最優先で取り組み、労働条件の底上げを図る」と明記した。

 景気の拡大局面が続くなか、割安なパートを雇うことで人件費を抑制するという企業の基調は変わっていない。このため連合は昨年の春闘から、パートの処遇改善や賃上げを目指す共闘組織「パート共闘会議」を設置し、正社員労組と同様に賃上げを要求できる環境づくりを進めてきた。

 しかし、正社員と非正規労働者との時間当たりの賃金水準格差は開いたままで、「運動方針を抜本的に変えないと労働者間の格差が固定化してしまう」(連合幹部)との判断から方針転換を決めた。 

 素案は1日、福岡市内で開かれた中央執行委員会で提示された。今後、議論を重ね傘下労組が出席する10月中旬の定期大会で提案されるが、正社員中心の労働運動を重視する産業別労組から異論が出ることも予想される。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070802-00000089-san-pol

連合という組織を主に構成しているのは、地方公務員、日教組、そして、大企業のホワイトカラー層だろうか。

今でこそ、非正規雇用の地位向上を謳っているが、懐疑的な目を向けている人の方が多いだろう。
そもそも、今の非正規雇用の急増とか、賃金が低く抑制されているのは、この連中が組合員の賃金を維持するため、経営側と合意して、それを後押ししてきたことなのだから。
今更、手を差し伸べたところで、「どうせ、会費目当てだろ」って思われてもしょうがないだろう。

近年、非正規雇用の問題についての議論が盛んである。
連合が支持する政党の民主党の現代表のWEBサイトには、


「非正規雇用の拡大は社会の二極化、不安定化を招くばかりでなく、企業にとっても長期的利益をもたらさないことから、希望者については、可能な限り、正規雇用に転換する。勤労者の「均等待遇」の原則を確立する。
終身雇用を我が国にふさわしいセーフティネットとして再評価し、雇用法制はあくまでも長期安定雇用を基本とする。」



などと公約に書いているが、政権与党の格差対策も含めて、今の膨大な数になっている非正規労働者をその半分でも正社員にするなんて、無理だと思っている。

何故かといえば、以前、『製造業崩壊』という書籍のレビューで突っ込んだ話なんだけれど、「終身雇用・年功序列の長所を見直す」ことは、既に不安定雇用に就いている人間を更に不利な状況に追い込むというパラドックスがあるからだ。
終身雇用の長所を冷静に考察すればするほど、企業は中途採用を手控えるようになるんだし、そもそも、多くの大企業はそんなことはとっくに理解しているから、新卒しか採らないではないのか。

それに、もう、日本の製造業の衰退は避けられない気がする。
かつて、米帝は「世界の工場」と呼ばれるほどの工業国だったけれど、日本の成長によって、その地位を奪われた(それで、中流層が激減した)。今は日本が逆にアジア諸国にそれを脅かされている。

先月の新潟の震災で、リケンという部品メーカーの操業が停止して、「カンバン」の弱点が浮き彫りになった。勿論、このアクシデントだけで、大手メーカーはそのシステムの優位性を捨てるわけが無いだろうが、何か象徴的な出来事に感じられる。

いずれにしろ、一部の分野では世界一を防衛しきれるとは思うが、総中流社会を持続させられるだけの雇用を維持し続けることは無理だと思う。

仮に制度が整って、非正規の人間が正規への道が今よりも開けたとしても、よっぽどコミュニケーション能力が無ければ、職場の人間関係で上手くいかなくて、企業の生産性にもマイナスの影響を及ぼす。
つまり、日本の企業の生産性の高さの要因として、社員を新卒で一括採用する慣習は大きいってことなのだ。

よって、俗に「格差対策」と呼ばれているものの方向性は、非正規から正規に昇格する人間の数を増やす対策などより、非正規が減らないことを前提にした対策をやらなければならないのだと考えている。まず、米帝よりも低い水準である最低賃金を上げることが、景気対策の観点からも必要だと思うのだ。

大体、安定した収入のある亭主がいる専業主婦とか、学生などを前提にした最低賃金が、今の時代にそぐわなくなっているのだ。
前も同じことを書いたが、今の社会保険の制度が世帯の生活を支えることを前提に設計されているならば、最低賃金だって、そうじゃなければ、矛盾しているのだ。一人暮らしとか、一家の生計の主な支え手には、違う基準にするべきだろう。

生活保護の水準に満たない給料しか払えないような会社は、人を雇う資格なんか無いから、個人・家族だけの営みに縮小すればいいだろう。

しかし、国の対策も根本的に間違った方向を向いている部分があると感じている。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/other14/index.html

上のリンク先の文書は、製造業の業務請負の労働管理について、厚生労働省が企業(請負業者、発注会社)に対して、色々なガイドラインを定めた通達内容なのだが、いずれは具体的に拘束力のある法令になるのかも知れない。
俺が駄目だと感じた部分は、福利厚生の「請負事業主は、社宅・独身寮の整備等の福利厚生を充実すること。」などという条文だ。

とどのつまり、企業が業務請負を利用するのは、暇な時に余計な人件費を支出することを避けるためだ。
地元で親元で暮らしている奴は良いが、そういう雇用で働いて、会社の借り上げアパートで暮らしている人間は、仕事が無くなったら住むところが無くなるではないか。
すぐに住み込みで働ける次の会社が見つかるとは限らんし。世の中が不景気になって、多くの会社が一斉に生産の調整に入ったら、ホームレスが急に増えるってことだ。

思うんだけれど、ホームレスとか、漫画喫茶難民の問題がしばしば、メディアで取り上げられるが、今の日本の社会で住む所に不自由している人間が増えているんだとしたら、その原因は国の住宅政策の誤りなんじゃないの。

前も同じことを書いた気がするんだけれど、日本は他の先進国と比べて、公営住宅の数が少ないそうだ。
あらゆる福祉について言えるかも知れないが、昔は企業の福利厚生がそれを補っていた。
何かの本に書いてあったが、日本の税制は株主に配当を出したり、従業員に賃金で還元すると税金が多く掛かる仕組みだから、それよりも社内の福利厚生の充実にお金が回り易い嫌いがあったそうだ。

ところが、バブル崩壊後の不況を乗り越えるために、企業がそういう部分をカットしたことによって、日本の福祉が米帝よりも貧弱だということが露呈したのだ。それが、ホームレスや漫画喫茶難民の増加っていう社会現象に表れているんじゃないの?

今更、企業・請負会社なんかに「福利厚生を充実させろよ」だなんて、無理な相談だと思うし、それよりも松井道夫みたいな発想の筋肉質な経営で利益を上げさせて、そこから政府・地方自治体が税を徴収して、福祉を分配していく形にした方が良いと思うんだが。

多くのサラリーマンが重いローンを組んで、持ち家を買うのは、老後に家賃を払い続ける生活が不安だからだ。
就職する前の学生とか、若いフリーターに対して、「正社員で就職しなければ駄目だ」みたいな教育を施している識者だって、それを脅しの材料に使うじゃないか。
持ち家が無ければ、年金だけでは生活が厳しい。逆に言うと、行政はそういう問題を根本的に解決しなければ、年金は幾ら払ったって、足りるわけが無いのだ。

利殖で不動産投資をやっている人間とか、それを勧めるような本を書いている者の話を聞くと、「質の悪い入居者を避けるために、家賃はあまり安くしてはいけない」などということが書かれている。
一面では否定しないが、それが世の中の景気を圧迫している面もあるだろうし、今の憲法第25条で定められていることが保障されていない人間がいるなら、極右政党・新風の政権公約に書かれているように、そういう投機に対する規制もやむを得ない気がする。

しかし、連合というか、民主党だって、所詮、自分の保身のことしか考えていない連中の集まりだ。
奴らだって強者の層なのだから、構造改革の弱者切捨て政策にどこまで歯止めを掛けられるのか、多くは期待できない気がする。
国民の間で、失望感が募ってくるのは遠くないかも知れない。

もし、民主党が次の選挙も先の参議院選挙と同じくらいの結果を目標にするなら、「一部の既得権益を守ることしか考えていない」というイメージを壊さなくてはいけない。

例えば、先に政府が出した共済と厚生年金の一元化の中途半端な内容とか、今年の出産手当金の改正の問題点などについて、率先して突っ込んでいかないと、一部の労働者の利害のためだけの政党っていう失望が出て、次はこんなに勝てないだろう。

先月に行われた参議院選挙だが、俺は民主党のこれほどの大勝は予想していなかった。
もしかすると、小政党の候補の当選もあるような気がした。

例えば、新風の瀬戸とか、9条ネットの天木などだ。
この二者はインターネットを活用して、支持者を地道に増やしていたところがあったが、マスコミや職場というフィールドを活用できる既成の大政党に有利な公職選挙法には歯が立たなかった。

でも、どちらも、これくらいの落選でへこたれないだろうし、支持者が少しずつ増えている。
今度の落選で、ネットの影響力がどの程度なのかを把握しただろうし、支持者の中には知恵者がいるだろうから、次はそれなりの準備をするだろう。いずれは進出が適うような気がする。

俺が気になっていることは、極右政党の新風だ。
このまま、民主党がマトモな野党になれず、今の日本の雇用などの問題が改善に向かわないなら、既成政党に失望して、こういう政党を選択する有権者が着実に増えていくんじゃないかって気がする。

ここの政党の公認で立候補した瀬戸弘幸っていう人物のブログを少し読んでいるんだが、この前の東京都知事選挙に立候補していた自称ファシストの外山恒一どころじゃない。
件のブログの「ヒトラー・ナチス関連」っていうカテゴリーの中の「ナチスに学べ、少子化対策!」っていう記事を読んだら、怖くなってきた。

ひょっとして、今の日本の国は凄くヤバい方向に進んでいないか?

自民党もだけれど、大躍進した民主党は責任が重いと思うが、変なタレントが比例区で当選しているようでは、危機感が無さ過ぎだなと思う。
2007/08/11 23:57|雇用、労働CM:0
 

何故か、省庁の非正規雇用の問題は取り上げられない〜「再チャレンジ」公務員試験の欺瞞 

「再チャレンジ」公務員試験、152人枠に2万5千人応募

政府が今年度から始めた「国家公務員中途採用者選考試験(再チャレンジ試験)」の申込者数が、採用予定152人に対し2万5000人を超える大人気となった。

 再チャレンジ試験は、大学や高校卒業者の就職内定率が低迷した1990年代以降のいわゆる「就職氷河期」に、自分の意に反してフリーターになった人たちに新たな挑戦の機会を与える狙いから、受験資格を4月1日現在で29歳〜39歳の人に限った。

 難易度は高卒者を念頭においた国家公務員3種試験と同程度で、行政事務、税務、刑務官、皇宮護衛官、入国警備官などの職種で採用を予定している。9月に学科試験を行い、合格者をそれぞれの府省が面接した上で、11月に採用者を決定する。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070721-00000013-yom-pol

これは政権与党の選挙目当てのパフォーマンスだと冷笑・批判する声も少なくないが、そんな論を待たないことを書いても仕方が無い。
与党の自民・公明はおろか、今の日本で何らかの既得権益を有しているところは総じて、「就職氷河期世代」の問題など考えていないってことが表れている内容に見える。

企業が直接雇用する正社員を減らして、派遣会社とか、請負会社の雇用がその受け皿になって、特に若い方で経済的に不安定な人間が急増していることが社会問題として、大きく取り上げられるようになって久しいが、民間ばかりの話ではない。

あまり取り上げられることがないが、実はそういう同じ構造の不安定雇用は省庁でも増えているのだ。
今、年金の記録問題のことで、社会保険庁が窓口要員としてテンポラリーに確保した人員が、国民に怒りをぶつけられる対象にされてしまっているという酷い現状が少しずつ知られてきているが、この現象がきっかけで、「省庁の非正規雇用問題」も注目を集めるようになっていくのかも知れない。

今度の再チャレンジは刑務官の採用枠もあるが、ウチのブログと同じfc2内で、「刑務所に勤務している派遣社員のブログ」も見かけたことがある(今はとっくに無くなっている)。かなりの時間働いても、月収は20万に満たないようなことを溢していた。

いずれにしろ、政府は本当に取り組む気があるなら、「こんな狭い採用枠を設ける前に、各省庁が現時点で、そういう形態で雇用している者の処遇をどうするのかについて、アピールするのが順序ってものじゃないだろうか?」という気がする。
正職員に登用するなり、正規・非正規の処遇格差を埋めるなり、或いは非正規職員は契約期間の満了後、自衛官みたいに就職先を斡旋するとか。
そういう対策をやる前にそんな採用をやるなんて、ただの選挙の票目当てというか、実は何も考えていないんだって言っているようなもんだ。

よく、非正規雇用を取り上げて、何かと与党を批判する野党――民主・社民・共産は民間企業の現場の派遣・請負のことは取り上げる。
だけれど、公務員が加入する労組が大きな支持層になっているような政党が、こういう省庁の非正規雇用問題を取り上げているのは聞いたことが無いんだけれど、何故だろう?
俗に労働貴族って呼ばれている連中は、非正規の処遇を改善する・正規との格差を縮小させるのは、自分たちの給料や待遇が低い方へ収斂させることになるから、触れたくないってことなんだろうか。

自民党にしろ、左翼の諸政党にしろ、60年前の敗戦と米軍の占領政策で恩恵を受けた連中の集まりで、それが既得権益を握って離さないなら、やはり、今の日本国は一旦、倒産でもさせないと、浮かばれない人間が多いんだろうか?
選挙で、どこの政党が勝っても勝たなくても。
2007/07/22 23:00|雇用、労働CM:0
 
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