駄猫の時事放談

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新革命思想宣言。
それは日本病への処方箋。グローバリズム、明治維新レジームでボロボロになった国家・社会・人間を立て直すビジョン(?)である。


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ホリエモンという魔獣、青木雄二という怪物 

――極東に亡霊が徘徊している
――新自由主義という亡霊である
――古い亜細亜の全ての強国は、
この亡霊を退治しようと神聖な同盟を結んでいる


成功を収めた経営者の著した本なんて、大抵は自慢話ばかりの自慰行為だと思っているので、私はよっぽど興味を引かれなければ読まないのだけれど、最近は古本屋で堀エモンが著した本を買ってきて読んでいる。

「人の心は金で買える」
「女は金についてくる」

前から「どこかで聞いたことのあるようなことを言っているな」と思っていたが、それがナニワのマルクスこと故・青木雄二と酷似していることに気づいたのは最近だ。

でも、私は気付くのが遅いのだ。他ならぬ本人が自著の『稼ぐが勝ち』の94ページで、「『ナニワ金融道』は良かったですね」と書いているから。「マルクス主義に傾倒していたから、少しバイアスがかかっているが、この漫画に出てくる考え方は経済の本質に近いと思う」などと書かれている。

この二人の思考の共通しているところは、金の使い方次第で人の心がどう変わるのかとか、金に絡んだ女性の心理のことを「知り尽くしている」(と、彼ら自身は自惚れている)ことがそうだが、何よりも世間から反感を買うことを承知で、それを開けっ広げに公言していることもそうだ。
そして、資本家が労働者をどれだけ搾取しているのかを見抜いて、会社勤めを敬遠した人生を選んだところもそうだし、この国には最初から一億層中流などは無かったと断言していることもそうだし、究極的に国境の無くなる世界を理想に描いている節があるところも一緒だと思う。

ドラクエみたいなビデオゲームのワールドマップの形に喩えられるが、実はポリティカル・コンパスの一番左の方は、一番右と隣接しているということの好例なのだと思う。
もし、接触する機会があったならば、ホリエモンと青木雄二はウマが合っていたかも知れない。
ホリエモンは小泉・竹中の構造改革に賛成の立場なのだけれど、今の政治改革の本質はダーウィニズムなのだ(社会ダーウィニズム論と呼ばれている)。
一方、青木雄二といえば、生前は唯物論を何度も何度も繰り返して主張していた。マルクスの唯物史観ってヤツだって、他ならぬダーウィンの進化論から生まれたものだ。

細かく分類すれば、ホリエモンは『アナルコ・キャピタリズム(無政府資本主義)』に近い立場だろうし、ナニワのマルクスは著作物を幾つか読んだ印象では『左翼リバタリアニズム』なのだと感じている(右派の中にはそういうものをリバタリアニズムと認めない声も多いし、共産党の知識人にも嫌われていたらしいが)。
それでも一見、正反対の立場に見える二人の考え方に共通点が多いのは、土台になる哲学(ダーウィニズム、唯物論)が同じだからに他ならないだろう。

生前、青木雄二は「資本主義擁護の自由民主党は観念論を用いて、労働者を騙して搾取してきた」という批判を繰り返していた。そして、郵政民営化も米帝政府・外国資本の都合で推し進められるということも指摘し、世間に対して警鐘を発していた。
だが、故人の著作物を読むと、日本に米帝の市場原理主義が導入される必要性を認めていること・それをを歓迎している節もあるのだ。
少なくとも、「同じ資本主義でも、アメリカの方が日本よりも進んでいる」ということを言っている。何故なら、唯物史観によれば、それは共産主義社会を実現するために必要な過程であることが認められるからだ。マルクスを信仰する者は資本主義が発達した後に共産制が実現すると信じて疑わないのだ。

そのあたりがホリエモンを含めて、普通の日本人には「バイアスがかかっている」ように見えるのだろう。
逆に言うと、青木雄二が「資本主義擁護の自由民主党に牛耳られてきた」と表現している今日の日本社会は、ホリエモンや海外のキャピタリストなどの目には、「真の資本主義とは呼べない共産主義のような社会」に映るのだ。

しかし、官僚や上の世代が大きな権限をいいことにデタラメをやっていることを苦々しく感じて、「国家」「政府」というものを小さくしていく・究極的には無くすべきだというような理想を抱いていることは、どちらも共通している。
つまり、同じ矛盾・国難に対する解決策として、ホリエモンは『大企業型資本主義』『アジアモデル』(=真の資本主義とは呼べない共産主義のような社会)から市場原理主義への移行を訴えているが、それに対して、青木雄二は『大企業型資本主義』も『市場原理型資本主義』も矛盾を孕んでいる資本主義であることには変わらないから、最終的には共産主義革命で倒されるものだと予言しているという違いはある。

そして、この二人のもうひとつの違いは、青木雄二は「悟っている」ことに対して、ホリエモンは「悟り」を持たず、貪欲に世界の真理を求道する姿勢を捨てない生き方を通していることだ。年齢差で説明できると言われれば、それまでだけれど。
故・青木雄二の頭の中では、世界は完全に共産制に移行する方向で動いており、「資本主義は縮小化に向かい、100年以内に世界の殆どの国が共産制になる」という予言を遺した。米帝型グローバリズム・市場原理主義の推進も想定の範囲内なのだ。つまり、小泉純一郎もホリエモンも神の摂理の掌の上で踊らされているだけに見えるんじゃなかろうか。
そして、故人は唯物論の立場から、クローン人間を生成する技術は「存在」を認めながら、その技術を以っても同じ人間をふたつ作ることは不可能だと断言している。

一方、ホリエモンはそういうことを解明するために――宇宙開発と人間の生命の秘密を究明するために巨億の富を築くという野望の持ち主だ。
実際、海外ではペットの猫のクローンを生成するビジネスが現実になっている。それこそ「金で何でも買える」時代の到来だろう。

しかし、多くの日本国民は青木雄二の唯物論・マルクス主張を信じられないだろうが、故人の「同じ人間をふたつ作ることは不可能だ」という考え方は抵抗無く受け入れられるだろう。
きっと、そういう思想こそ「人を殺してはいけない理由」の根拠だろうから。
ホリエモンを嫌っている奴の中には、その拝金思想にある種の危険性・恐怖を感じている者もいるのではないだろうか。

いずれにしろ、二人とも、『資本主義』というシステムの本質の理解においては、認識は一致している。
興味深いのは、スタート地点は同じなのに、一見、正反対の方向に見えるように思想が育ったことだろう。

しかし、ナニワのマルクスは早世してしまい、ホリエモンは証券犯罪で失脚した。
それは『大企業型資本主義』『アジアモデル』(=真の資本主義とは呼べない共産主義のような社会)が、完全には払拭されていないということの表れのひとつような気がする。
それが『新自由主義』と融合することによる化学反応がどんな副作用を今後の日本社会に及ぼすかを想像すると、あまり明るい気分にはなれないな。

ホリエモンの新資本主義!
堀江 貴文著
光文社 (2005.5)
通常2-3日以内に発送します。
2006/04/06 19:15|政治CM:2
 
コメント
深いですね
歪んだ資本主義社会では色々な論議が試みられますね。
どうやって生き残ればいいのか悩むところです。
山するめ #LohWi/FA|2008/11/26(水) 06:32 [ 編集 ]
 

変化に適応した者が生き残れるが、決して変化に適応しようと意識した者(物)が生き残れるわけではない。
なるようにしかならない。

それがダーウィニズムの核心。

今のところ、私はそう考えています。
カイン #PTRa1D3I|2008/12/11(木) 11:08 [ 編集 ]
 
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