駄猫の時事放談

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ニートに説教する細木数子の背後には、観念論で労働者を搾取する資本家がいるということ 

自社株式時価総額世界一のラッパを吹いていたホリエモンは有価証券詐欺行為で逮捕され、ライブドアは間もなく上場廃止だが、ホリエモン・ライブドアの益々の興隆の予言を外した細木数子の大口は相変わらずである。

4月4日にTBSで放送された『細木数子 ズバリ言うわよ スペシャル版』は、ニートをテーマにした番組だった。
私は視聴していないので、それを観た人のブログに書いた記事を読んで、どんな内容が公共の電波で流されたのかを知ったのだが、典型的な「観念論」が展開されていたんだなと感じた。

「観念論」とはナニワのマルクスこと青木雄二に言わせれば、「資本主義擁護政党の自由民主党が労働者を搾取するために用いる哲学」である。

番組で件の女史が話した内容の中で、典型的なものは「因縁食い」という言葉だ。
あるニート(女性)は友達の家を泊まり歩きながら、時にネットの掲示板で食事をおごってくれる人間を募集して食い繋いでいるという生活を送っている。
細木はそれに対して、以下のようなことを説明して嗜めたのだ。
「それは『因縁食い』といって、人の邪気を食べることだ。働く人間が命をかけて稼いだ金銭の一部を騙すように自分の食費に奪うと、体が弱って早死にする。そういう自然界の法則を知れ」

要するに言葉を尽くして、そういう考え方を平易に説いて、ニートたちに就職を促すというオチだったそうだ。
仕事は何でもいいから、使ってもらえる職場ならどこでもいいと喜んで働きに行け。金ばかりではない。家族や子供を大切にして幸せな人生を送れ。
前々から繰り返しているようなことだろうけれど、女史は番組の終盤でこういうメッセージを発していたそうだ。

しかし、唯物論・機械論を信奉する者が聞けば、失笑を禁じえない内容だっただろう。

細木数子の意図とは乖離するだろうが、公共電波・放送権を寡占している企業・資本家の意図も、ここで考えなければならない。
それは観念論で労働者を搾取する公器となっている面も否めないってことだ。

皮肉なことだけれど、細木数子が主張している幸福論は、『大企業型資本主義』『アジアモデル』(ホリエモンが「真の資本主義とは呼べない共産主義のような社会」と称したもの)の社会下で、終身雇用のサラリーマンと専業主婦という家族形態を取る場合にしか成り立たないものだ。

では、テレビ放送局は何故、このおばさんを何度も出演させて言いたい放題させているのか?

ホリエモンの失脚・ライブドアの凋落は何を象徴するか?

それは「上の世代に搾取されている二十代」の利益を代弁して、新資本主義への移行を訴えていた勢力が、読売の渡辺恒雄やフジの日枝久といった「真の資本主義とは呼べない共産主義のような日本経済」を牛耳ってきた守旧勢力との戦いに敗北したことだろう。
渡辺恒雄は元共産党党員であるし、今でこそ右寄りで知られる産経新聞だって、その創業者は戦前、共産党の幹部だった。日枝は労働運動の功労者だ。これが「真の資本主義とは呼べない共産主義のような日本社会」を牛耳ってきた連中のバックグラウンドだ。
これらもポリティカル・コンパスの一番左の方は、一番右と隣接しているということの例だ。

「地道に働いて、結婚して家庭を築くことの尊さ」を若者に説く細木数子をテレビに出演させている裏には、どういう意図があるか想像がつくだろう。

ライブドアの上場廃止が確定したのとほぼ同時に、大企業の新卒採用が急増するというニュースが流れ、フリーターの正社員転換も進みそうだという観測も一部で流れているようだが、これだって何かを暗示しているような感じがしないでもない。まるで「護送船団方式の産物、終身雇用・年功序列は破綻している」と断言していた社長を嘲笑うかのようだ。

年功序列が維持されている会社がどのくらいあるのかは分からない。しかし、同じ能力ならば、正社員で就職した方が自分の給料が上がっていく確率が高いという社会の構造は変わっていないことは確かだ。
ナニワのマルクスに言わせれば、それこそ搾取の原点なのだ。それは同じ会社で働き続ければ、「結婚して住宅を持てる」という希望を餌にして、企業が労働者を扱き使っている構造のことだ。

どうやら、この国は今後も大企業型資本主義――ホリエモンが「真の資本主義とは呼べない共産主義のような日本社会」と敵視したシステムを存続させながら、新自由主義を取り入れていく方向で進んでいるらしいな!

今の日本の若者の抑圧感の行き着いたところという記事でも触れたが、去年の総選挙で自民党に投票した有権者は、小泉政権の改革が「真の資本主義とは呼べない共産主義のような日本社会」を破壊することを期待したんだろ。
中にはホリエモンのことは毛嫌いしている奴もいるだろうが、小さい政府を望んでいることは同じだろう。
だけれど、ホリエモンの凋落を期に「真の資本主義とは呼べない共産主義のような日本社会の破壊」はどこかへ行ってしまったかの感がある。
(公務員共済と厚生年金の保険料率の)年金一元化の案を読んでも分かるが、やる気が感じられないだろ。それに関する記事を書いた日、同じテーマを扱っている他のブログを幾つか読んだが、どこも官民格差のことばかり論じていて、二号被保険者と一号被保険者との格差を突っ込んだ奴は殆ど見かけなかったぜ。

自民党改革派は若年層の労働問題に対して、どういうスタンスを取っているのか分からない。

この前も書いたが、竹中平蔵総務大臣は「日本の社会はアメリカと比べて、起業を目指す意欲を持った若者が少ない。もっと若い世代に起業を志して欲しい」などと公言していたし、その体制下でフリーター・ニート対策の国民会議に参画している玄田有史もそんなことを言っているだろ。
日本で起業を少なくしている大きな原因は年金格差だろう。
基礎部分は税方式一元化して、現行の二階部分(厚生年金、報酬比例部分)以上は、自営業者が対象の国民年金基金もその例だが、全て自己責任のシステムに変えてしまうぐらいのことをやるべきだろう。

ところが、できるわけがない。どうして?

自営業者は政治力が無いから。ホリエモンや青木雄二のようなごく一部の勝ち組を除いて、フリーターやニートと紙一重な生活だ。
女の子がいる家庭は、娘が自営業の男と結婚することを反対するケースが多いだろ。

フリーターやニートの正規就労を促すために、どういう説教をする?
社会保険加入して働いた方が有利ということも強調するだろ。

ホリエモンは「若ければ若いほど、起業は有利だ。なるべく早く会社を作れ!」と主張していた。どうしてなのかは、少し考えれば分かる。
新卒で就職して、社会保険に加入して、サラリーと年二回の賞与をもらう生活を何年か続ければ、個人差はあれ、結婚を意識するだろう。
でも、近い未来、結婚して子供を育てることを考えれば、そんな冒険はできるわけがありませんよね。
少子化対策はブラブラしている若者にそういう説教をすることも含まれていますよね。
だから、独立する気があるなら、会社生活に浸らないうちに行動を起こさなきゃならない。
しかし、竹中平蔵大臣は日本の若者に起業を促したい意図もあったからこそ、ホリエモンというベンチャー起業家を構造改革の象徴に祭り上げたんだろ。

これを二律背反と言わなければ、何が二律背反になる?

とどのつまり、ニートと呼ばれる人種の中には、マルクスを含めて、総合科学としての哲学や経済学のことなど知らなくても、世の中のそういう胡散臭さを何となく気付いている奴がいるんだろ。

唯物論の絡みで近日中に考察をまとめる予定だが、ホリエモンの「ニートは問題じゃない」っていう見解も一理ある。ある種の思想から見れば、細木数子の「因縁食い」という言葉は噴飯物だ(的を得ていることも言っている時もあるが)。
2006/04/07 03:33|経済CM:6
 
コメント

「細木数子」なんて単に口のうまいおばちゃんですよね〜。
で、「見世物」になるからテレビが引っ張りだこ・・・。
しかし、日本の視聴者はすぐ素直に洗脳されたりするからねー。(爆!)
arcadias34 #0MXaS1o.|2006/04/07(金) 17:01 [ 編集 ]
 

アルカディアさん、こんばんは。


>>細木数子

私は「女性は出産したら、仕事と家庭を両立できるわけないだろ」という主張については正しいと思っています。


>>口が上手いおばちゃん

実は占い師の仕事っていうのは、そういうことなのですよ。
(昔は戦争の勝敗や農作物の出来を占って欲しいという権力者のパトロンを得て、発展してきた面は大きいが)

人や社会の未来を予言することじゃなくて、カウンセラー的なことをやるのが本分の筈。

それを踏まえて、彼女の人柄を信用して、自分の悩みを相談する人が多いっていうなら、それはそれで構わないと思うが……。
カイン #PTRa1D3I|2006/04/07(金) 18:31 [ 編集 ]
 

「金儲けは、頭でするんじゃない。心でするんだ」
細木数子を踏み潰すブログ #-|2006/04/07(金) 21:06 [ 編集 ]
 

あんたすごい!
よく考え抜いた!
感動した!!!
山本まちゃまちゃ #-|2006/04/11(火) 09:47 [ 編集 ]
 

>>山本様

恐れ入ります。
カイン #PTRa1D3I|2006/04/11(火) 23:51 [ 編集 ]
 

>>細木数子
「女性は出産したら、仕事と家庭を両立できるわけないだろ」という主張について

なるほど資料をみると、日本は今だに出来ていないですが、フィンランドは確実に達成しています。
日本とフィンランドの差は何でしょうか?
康太郎 #YCOdJ.m.|2008/06/23(月) 13:41 [ 編集 ]
 
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