駄猫の時事放談

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米帝のプロテスタンティズムの破綻 

昨日、米帝の「サブプライムローン」の問題を記事に取り上げたが、日本国内の金融機関の中にも、同様の商品を取り扱っている所がある。
要するに、信用力が劣る個人が対象の金融サービスという意味では消費者金融などもその範疇と言えるのだが、派遣等の非正規雇用で働く人とか、自営業者とか、SOHOとか、転職の回数が多い勤労者などをターゲットにした住宅ローンを取り扱っている地銀があるのだ。
もしかすると、日産自動車がタイアップしているコレなんかもそうなのかも知れないな(「フリーターも申し込み可能」なんだそうだ)。

日産ルーキーサポートクレジット

ここ数日、ニュースサイトの経済のトピックスを開くと、春闘の動向を伝える記事が目立つが、やっぱり、景気の回復の恩恵が個人・家計に行き届いていないことを指摘するコメントが多い。政府も含めて、様々な立場から、経済成長・景気拡大の持続には、個人消費を底上げすることの重要性を訴える声が上がっている。

今まで何度も何度も突っ込みを入れてきたことだが、大体、今後の日本の株高を予想している識者に共通するのは、「団塊世代とその子世代の消費」という要因を指摘していることだ。そういう主張・予想の根拠がそれだけだとしたら、景気拡大・株高だなんて有り得ないと思っている。
「団塊ジュニア世代が40代に差し掛かって、住宅を建てたり、子供の教育費に最もお金が掛かる時期に個人消費が膨張するから、バブル景気になる」だなんて言っている者がいるが、ここ10年ぐらいの雇用の現状なども考慮しているんだろうか?
月並みな格差批判の書き方になってしまうが、欧米よりも低い水準の最低賃金・社会保障で、国際競争力を名目に、給料を低く抑えられた非正規雇用の労働者が急増していて、結婚はおろか、自分自身の生計も成り立たせることが難しい奴が増えている。
こういう現状を知らないで、そんな薔薇色の未来をホザいているのなら、「よっぽどの世間知らずだな」と呆れるぜ。

仮に行政の対策が効を奏して、若年層の雇用問題が改善しても、不況期の空白期間がある分、年功的なことでも親世代の若い頃と比べて、所得は高が知れているだろう。ましてや、成果主義の導入が進んでいる時世だから。やっぱり、団塊ジュニア世代の消費なんか、一部の識者が予想しているほどじゃないと思うんですよ。

が、だからこそ、日本でも「サブプライムローン」に対する需要があるということなのだろう。
いずれにしろ、政府は景気対策のため、個人消費を底上げしていく方針があるなら、教育や司法制度と同様、米英をお手本にするに違いない。
近い将来、政府は個人消費を煽るために、金融機関各社に対して、そういう商品を作ることを奨励するような気がする。
産油国のサウジアラビアとか、社会民主主義の欧州諸国みたいに、福祉として還元するわけでなく、企業に賃金で報いさせるわけでもなく、高い金利がつく借金で、国民の生活水準の底上げを図ろうって魂胆を見せてくるのではないか。

3月15日に書いた『瓦解しかけている日本版プロテスタンティズム』の記事の内容を思い出しながら読んで欲しい。以下の件だ。


安倍晋三の著書の『美しい国へ』の第7章「教育の再生」には、『大草原の小さな家』というドラマのことを簡単に紹介する節が挿入されている。
そのドラマの主要登場人物は敬虔なプロテスタントの信者で勤勉な家庭人だ。そこに古きよき時代のアメリカの理想の家族像を見出して、レーガン大統領はこのドラマを施政のプロパガンダとして利用したのだが、それが効を奏して、米帝はベトナム戦争以後、深刻になっていた家庭の崩壊や社会の荒廃にある程度の歯止めを掛けられたんだそうだ。 要するに、安倍晋三はそれを自らの改革の手本にしたいという考えを標榜し、旧来の家族のモデルを尊ぶ価値観を改革後の教育制度に盛り込みたいという所見を公言しているわけだ(だから、『ALWAYS』という映画を自身のプロパガンダに利用しているようなことを言っている)。



米帝はロナルド・レーガン政権以降、新保守主義の推進者たちが、国民に示した現代のプロテスタンティズムは、禁欲一辺倒の宗教・哲学ではない。景気を拡大させるという目的もあるが、社会を安定させるためには、「地道に働いていけば、物質的な幸福も追求できるよ」ということについて、確たる証を国民に見せることも必要だった。
職業や雇用形態の格差については、今更、俺がクドクドと書く話ではないが、資本の理論をトコトン追求した市場原理主義という思想の前では、人間の労働力なんて屁みたいなもので、換えの利く大多数の平々凡々な労働力は安く買い叩かれる道理だ。
ところが、国民に「プロテスタントを信仰させる」なら、そういう本質を隠し通さなければ、地獄行きを宣告しているようなものではないか。
米国の「サブプライムローン」という金融商品は、その条件を一時期は満たせるものだった。国民がいたずらに不安を覚えたり、政府や社会に対して不満を爆発させることを抑制するための薬だったのだろう、という気がするじゃないか。

今度のニュー・センチュリー・ファイナンシャルの経営危機は何を意味しているかと言うと、薬の幻覚の効果はそろそろ切れるかも知れないってことだ。
FRBの議長は今度の問題について、「景気への影響は限定的」などと言っているようだが、今年1年だけで、「サブプライムローン」の破綻によって、抵当物件を押さえられてしまう人が150万人もいる見通しがついているんだそうだ。

人々が信仰していたもの、価値観を見出してきたことが崩壊していくことに他ならない。
大きな借金だけが残って、米帝は覇権国家の地位から転落していく。その兆候のひとつとして、歴史に記録されるだろう。

安倍宰相を筆頭に、米英の新保守主義にシンパされている日本の政治家は、格差社会の諸問題の処方箋として、経済も教育も米英をお手本にするつもりなんだろう。
案外、一部の証券アナリストが予想している通り、それで消費が底上げされることによって、バブル・株高は現実になるのかも知れない。

だが、俺個人の想像では、とっくに破綻が見えている国のやり方を真似したところで、格差社会で心を病んでいる国民に希望を与えることなんか、土台無理な話だと思っている。
「また、下の世代に対して、上の世代の不始末の尻拭いをさせるようなことを繰り返すつもりか?」と呆れるだけだ。
俺と同世代の他の人々はどう感じるのかは分からないが、俺個人はそんな未来の社会像を提示されれば、卓袱台を引っ繰り返したくなる。
2007/03/18 08:00|経済CM:2
 
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アメリカの将来について
この日記で私も同じ題材を用いてますけど

http://www.enpitu.ne.jp/usr4/bin/day?id=41506&pg=20070318

「格差社会」は今や日本だけじゃないんですね。
江草乗 #ZCt3cE/Q|2007/03/18(日) 23:30 [ 編集 ]
 

江草先生

そちらのはてなで書かれている個人日記の方も読ませてもらっています。
2月28日の記事を読んで考えたことでもあるのですが、
近い将来のバブル景気は、案外と幻想じゃないかも知れないと思ったりしているのですよ。


>>ただ、いずれにしても私は日本の好景気なんてモノは幻想だと思っている。
>>格差社会の中で購買力を失った大勢の人たちが居て、熟年離婚で新たなストレスを抱える人たちがいて、結婚しない男女が増えて、果たして景気の拡大局面なんてこれからあるのだろうかと思ってるからである。

「格差社会」っていうのも、アメリカを後追いしてなった結果だから、日本の為政者は、そんな好景気の演出もアメリカの真似でやるつもりかも知れない、って。

でも、そんなことになったら、今のアメリカの社会で起こっている問題が、20〜30年後の日本で繰り返されるのが落ちだと思って、冷ややかに見ています。
カイン #PTRa1D3I|2007/03/19(月) 20:19 [ 編集 ]
 
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